キュピパラ感想・考察――ギルとアラン

 『キューピット・パラサイト』の感想のような考察のような何かです。

 思いっきりネタバレしてるので未プレイの方はブラウザバッグしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱりギルとアランって表裏なんだよな~~~。

 

 

 共通√、パラサイトハウスで共同生活している時、「やっぱり男は女の子に尽くすのが一番だよ!」と語るギルに「それってエゴじゃない?」ってアランがつっかかるところあるじゃないですか。Parasite5が危うく全裸を全国に晒しそうになった、発端の会話です。

 なんか私ここが地味にずっと引っかかっていて。表面上は「女性に尽くしたい男」「女性に尽くされたい男」が喧嘩している会話なんですが、でもそれだけでは無いというか。ここでアランがわざわざギルに突っかかったのは、異性に尽くす尽くされるという価値観がギルと違っていたから、ではないと思うんです。アランが突っかかった理由は、

①リネットとの関係が一向に進展しないギルへの苛立ち

②同族嫌悪(自覚があるかは別にして)

なんじゃないかと思うのです。

 

 まず①について。アランは、ギルリネにくっついて欲しい、リネットに人間として幸せに生きて欲しい、という一心で、裏からあの手この手を尽くしてきました。それなのにギルは奥手すぎて一向に話が進まない。これだけお膳立てしてやってるんだから、いい加減決定的な行動を起こしてくれという苛立ちです。テクニック(アランの言うテクニックは、決してベッドの上に限ったものでなく、男女交際における諸々全般も含まれると思っています……アランが言うから、そういう意味に聞こえるだけで。)に自信が無いから家事に逃げてるくせに、僕は家事やって彼女に尽くしてるんだ!と威張られたらちょっとムカつく。わかる。(でも実際、ギルは非ドーテーだったしあんな風に攻めてきたので私はひっくり返りそうになりました)

 

 ②同族嫌悪について。「それってエゴじゃない?」と突っかかったアランは、「尽くされる男」の立場から物申していました。それはアランが人間の女性一般、食事の対象と付き合う際に取る立場です。本当に好きな女性、リネットに対しては、アランは完全に「尽くす」側の人間ですよね??っていう話です。アランは「彼女の望みは全て叶えたいと思ってしまう」し、「ずっとずっと昔から、俺は彼女の面倒をを見ているのが何よりも好き」なんです。30日限定でいいから付き合って欲しいとか、お揃いのマグカップが気になるとか、海に行きたいとか、彼女が望んだら全部叶えてあげたくなるし、面倒を見ていたい。思いっきり尽くす男じゃないですか。

 まあ人間誰しも、好きな相手には大なり小なり尽くしたくなるものかもしれません。でも、恋人のことばっかりじゃなくて自分の夢と向き合うギル√中盤とか、それぞれ仕事に打ち込んでいて、同じ空間で仕事をしているのがなんとなく心地いいシェルビー√とか、この作品で描かれている恋愛行動って、何も相手に尽くすばっかりじゃないです。そう考えると、アランと共通√のギルは、愛情表現が「相手に尽くすこと」に特化しているなあと思います。

 

 ましてや、アランがこのゲーム内で一貫して掲げている大きな願い、「リネットに、人間の男と恋に落ち、幸せな一生を歩んで欲しい」なんて、アランの一方的な願望、最たるエゴです。まるでリネットの為を思って行動しているように見えるアランですが、この「人間になって欲しい」という願望は、リネットの為ではなく、自分の為のものです。

 そのエゴの根底には、リネットと一緒にいたい、ずっと傍にいたいという願いがあるわけなんですが、悪魔に堕ちた身でその願いは叶いません。だからせめて、リネットの魂が消滅しないで欲しいと思うし、消滅しないために人間と恋に落ちて欲しいと思う、人間になるしかないんだったら人間として幸せになって欲しい(自分が直接幸せにしてあげられない分まで)……と、ある意味での妥協が幾重にも重なった末のエゴです。このゲームにおけるアランの行動は、一見するとリネットの救済行動ですが、実際は自分自身の救済行動でもあると私は思うのです。

 彼女のことを想ってあれこれ世話を焼くけど一向に気持ちは伝わらないギルと、彼女のことを想い続けてあれこれ手を回すけど空回りし続けているアランは、どうしたって重なるよなあと思うのです。その同族嫌悪をアランが自覚しているかというと、まあそんなことは無いかもしれませんが。

 

 

 

 以下、雑記。

 私はアラン√を二番目に攻略したので(推奨攻略順はちゃんと守ろうと心から思いました!)、いつも頭の片隅でアランのことを考えながら他のキャラを攻略していました。てっきりあちこちでアランの根回しが見られると思っていたのですが、思いのほか、各√に入って以降はアラン根回ししてなくないですか……?

 少なくとも、リネットや彼の夢に入って恋を煽るような真似はしてなさそうですよね。ラウル√で地下に落ちたのなんてまさにアランの領分かと思いましたが、特に手助けなどはしていないような気がします。リネットたちがギリシャ行くの知ってたのかな? ギル√でギルのアパートで異臭騒ぎが起きたのはあまりにもタイミング良すぎて怪しかったですが、一応ちゃんと原因判明してるんですよねー。

 アランがこれまでいろいろ根回ししてきたと言っても、セミナー講師と結託して模擬デートをさせたとか、parasite house参加予定だった女性達を口説いたとか、なんやかんや人に直接働きかける、結構面倒なやり方なんですよね。なんか魔法みたいなものが使えるわけじゃないし、そもそも悪魔は神ほどの力は無いみたいなこと言ってたし。

 そういえばギル√終盤でアランが登場した時、たまには俺も手伝うかみたいなことを言っていたので、意外と各√に入って以降のアランは、手出しせず見守るスタンスだったんですかね? そのあたり、もう一回プレイして確認してみようと思います。

 

 

 雑記その②

 螢彩院くん√で、「今夜、ベッドの上で」ってENDあるじゃないですか。最後の最後、おばあ様の所に行く勇気が出なかったパターンのエンディングです。このENDのスチルで、リネットのキューピットの矢が外れてないのが私すごく気になってるんですよねー。

 で、考えたんですけど、もしかしてこの「ベッドの上」ENDでは、螢彩院くんとリネットがセッしてないのでは??という。チャプターのタイトルがタイトルだし、「螢彩院くんが大人の男だって分かってなきゃあんな事もしない」とか「恋人同士のふれあい」とか言うから、てっきりやる事はやってるんだと思っていましたが、実は「恋人同士のふれあい」が本当にただの「じゃれあい」に過ぎないのでは??と、ちょっと思い至りました。

 どういうタイミングでキューピットの矢は外れるのでしょうか。シェルビー√を参考にすると、二人がキスをしてベッドになだれ込んで、さあこれからセッするぞ!というタイミングでネックレスのSEが鳴っています。つまりこの瞬間ネックレスが外れているのです(シェルビーいわく、脱がした時にはもうネックレスは無かった)。

 考えてみれば螢彩院くんの場合、true ENDの「ハッピー・カウントダウン」で螢彩院くんに押し倒されてキスされていい感じの雰囲気になってようやく、キューピットの矢が外れたんですよね。この日は螢彩院くん20歳の誕生日で、螢彩院くんはもう我慢しないから的なことを言います。つまり今までは我慢してたんですよ。正規(?)ルートでさえ、二人はこの日までセッをしていなかったのでは?と考えられるのです。

 そう思ったら、「ベッドの上」ENDでまだセッしていない可能性、あるんじゃないでしょうか。このENDだと螢彩院くんは自分がリネットより幼いことを気にしていますし(かわいい)、子供みたいなキスをするとか、私たちはまだ子供だみたいなモノローグがあるんですよね。二人はまだセッしていなくて、だからキューピットの矢が外れていない、と、今のところ私は考えています。